今回は、当サイトへお寄せいただいた扇子に関する体験談をご紹介します。
今回は、舞扇子に関する体験談です。
京都への修学旅行で・・・
新潟県長岡市在住の主婦、48歳です。
昭和57年4月、当時中学3年生だった私は、同じ学年のみんなと、京都に修学旅行に行きました。2泊3日の旅行で、一学年400人という大所帯。
泊まるも食べるも見学するも、何もかも大仕事の修学旅行といった印象が、思い出に残っています。
1日目に特急で半日ほどかけて京都へ到着し、午後から部屋割りをして夕食を食べたあと、夜には待ちに待った自由行動の時間になり、女子だった私はクラスの女の子5人で、京都市内の指定されたエリアで、買い物をしました。
自由時間のお買いもの
中学生の修学旅行では、おこづかいの上限が決められていて、私の旅行では2泊3日で5000円という金額でした。
班による自由行動がなかったため、寺院の見学料の出費もなく、食事も団体行動ですべてついていたため、5000円という金額は、すべて自分のお土産を買うために当てることのできる額でした。
それでも、生八つ橋を一箱買うと、小さいものでも500円800円としますし、友達とおそろいのキーホルダーを買ったりするとそちらも500円以上はしたと思います。
5000円だとそれほどたくさん好きなものは買えないなと、お店で売られている商品を見ながら頭の中で買い物の計画を立てました。
夜、5人の中学生で初めての買い物に行き、最初はいろいろ見ていたのですが、少し背が高くて着物の似合いそうな女の子が、みんなに口を開きました。
「みんな、ごめん…私、買わなければいけないものがあって…一番最初に、扇子屋さんに寄っていい?」
えっ、扇子?!でも扇子なんて楽しそう!と、他の4人の女子もついていきました。
扇子屋さんに行くと
着物の似合う子がお店の方といろいろ話をしている間、私たち4人は、お店の扇子を、いろいろと眺めていました。
綺麗だね。素敵だね。可愛いね。あ、私、これが好き。など。
10分くらいしたら、着物の子の扇子が決まったらしく、決めた扇子を私たちも見せてもらい、お会計をしました。
その子の扇子は、2500円。学校で持っていってよいおこづかい5000円の、ちょうど半額です。
「扇子で2500円も使ってしまって、大変だったねー。」と私たち4人は、その着物の似合いそうな女の子に、同情の声を寄せました。
「大変だったよー。もう半分しかお金のこってないしー。」と、着物の女の子は言いました。
歩きながら何回かそのようなやりとりを繰り返したのですが、私たち素人の中学生の目から見ても、その2500円の扇子は色や質感、柄など高級品であることがわかり、せっかく京都まで来たのだから、いい買い物をしたのかなと、扇子の子も私たち4人も、みんなで納得しました。
友達が買ったのは日本舞踊の舞扇子
買い物を終えて部屋に戻ってから聞いたのですが、その着物の似合いそうな女の子は、小さい頃から日本舞踊を習っていて、日本舞踊の先生から、扇子を一つ買ってくるように、言われていたそうです。
扇子を選ぶ時も、その先生から言われたメモを手帳に書いてきていて、その手帳を扇子のお店の方に見せながら、扇子選びをしていました。
着物の子はもちろん、私のような日本舞踊のことがわからない者にも、大変貴重な経験と思い出に残った、京都の修学旅行での「扇子選び」でした。
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今回の体験談は以上になります。
当店「山武扇舗」では日本舞踊に使う舞扇子を多数扱っていますので、よろしければそちらもご覧ください。