今回は、当サイトへお寄せいただいた扇子に関する体験談をご紹介します。
今回の体験談は、ある男性の扇子にまつわる思い出のお話です。それではどうぞ。
高校時代の扇子の思い出
私は、30歳の男です。青春時代の少し甘酸っぱい扇子についての思い出があるので書きたいと思います。
私は、静岡県袋井市で生まれ、現在も市内の会社で営業のサラリーマンをしています。袋井市は夏に「遠州ふくろいの花火」という計二万五千発もの花火が打ち上げられる日本屈指の花火大会を行う市でもあります。
私が、高校二年生の時、生まれて初めてお付き合いした女の子とその花火大会に行った時の思い出です。
私がその子と付き合い始めたのは高校二年生の五月位の事だったと思います。なので、八月に行われる花火大会の時はもうドキドキがとまりませんでした。
その時、私は生まれて初めて浴衣を着る事にしたのです。私の祖母は和裁の仕事をしていました。なので、生まれて初めての浴衣は祖母に作ってもらいました。
祖母はいわゆるプロなので浴衣に合う扇子をプレゼントしてくれました。そして祖母にこんな作法を教えてもらったのです。
祖母に教わった扇子の作法
「扇子で扇ぐ時はうちわで扇ぐようにしてはだめよ。袖口から風を送り込むように扇ぐといいんだよ。」と、何とも高校生の私にとっては貴重なアドバイスをしてもらったと感激しました。
おばぁちゃんにその作法を教えてもらい彼女の前でそんな事をしたらと考えただけで当時の自分は「これで彼女との距離を縮められる!おばぁちゃんサンキューです!」と思ったものです。
いざ、当日…。彼女も浴衣姿でした。髪の毛も美容院でセットしてもらったらしくのろけたものです(照)
花火大会の会場はすごい数の人たちが会場に押し寄せていて、すごく熱気があります。となれば扇子で扇ぐ事になりますね…。
まず、扇子を見た彼女は「すごい!何か本格的な扇子だね!」と中々の感触…。「今しかない!」とおばぁちゃんに言われた通り袖口から何気なしに扇子で扇いだ時、彼女は「なんでそこを扇ぐの?脇に汗かいたの?」…
高校二年生の女の子が和装の時の扇子の扇ぎ方など知らないでしょう。思春期真っ盛りだった男の子が好きな女の子にこう言われてしまったら何も言えません…。
男というのはいつの時代も背伸びをしたがる生き物です。扇子の扇ぎ方が本当にそうなのか、天国に逝ってしまった祖母に聞く事は出来ないですがきっとそういう作法もあるかと思います。
扇子に限らず日本古来の和装には様々な作法がありますね。私も大人になり、そういったものを大切にする心を持ちたいと思っています。
でも、若い時は中々その作法を理解するのは少々難しいですね…。でも、今の若い子達は着物に興味を持っている方が多いと聞いた事があります。なので、その着物に合う素敵な扇子もぜひ一つ持ってみてはいかかがですか?
ただ、私のように若いうちにあまり作法にばかりこだわると着こなせないかもしれないのでご注意を…。(笑)
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今回の体験談は以上になります。
当店「山武扇舗」のネット通販でも体験談に出てきたような夏用の扇子を多数扱っていますので、よろしければそちらもご覧ください。