今回は、当サイトへお寄せいただいた舞扇子に関する体験談をご紹介します。
西川流で内弟子として修業を続けられている男性の貴重なお話です。
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西川流を20年ほど続けています
日本舞踊の西川流をもう20年くらい習っています46歳の男性です。
というか内弟子として修行していますので、習っているというよりお仕事としてやっています。
お稽古場が大阪市内の北区にありますので、ほとんど毎日お稽古場に朝から晩までいます。
ちなみに私は大阪市内の都島区に住んでいますので、通うのにはそんなに時間がかかりません。
流派の舞扇子は・・・
うちの流派では、お稽古用のお扇子は決まったものがありますので、全員それを使います。
西川流の紋(西菱といいます)を一定間隔で散らしたお扇子で、地色は白。西菱の色は様々です。
好みの色をお師匠さんにお願いすると、京都の老舗のお扇子屋さんに注文してくださいます。
一般のお名取さんは好きな色が選べますが、師範は地紙が和紙で西菱が金色という専用のお扇子を使わなければならない、と流派の取り決めでは決まっています。
初めて師範用のお扇子を使った時はすごく嬉しかったことを思い出します。
ですが、普段のお稽古では、師範のお扇子はもったいないと思うのか、お偉い先生方でも一般用のお扇子を使ってらっしゃる方がたくさんいます。
女性が多いので、やはり若い方だと赤とか、すこし年配の方だと紫とか緑とかを好まれる方が多いです。
私は男性ですので青とか紺をよく使っています。
子供さんのお稽古用は・・・
また私は子供さんにお稽古をつけたりしていますので、子供さん用の流派のお扇子も京都のお扇子屋さんに注文したりします。
子供さんは体がまだ小さい子も多いので、普通のお扇子は9寸5分というサイズなのですが、9寸というすこし小さめのお扇子になります。
色はいつでも赤を注文するのですが、先日、男の子用の青もあることを初めて知りました。
それでも幼稚園児のお子さんが小さい体に大きなお扇子で一生懸命お稽古している姿を見ると、思わず微笑んでしまいます。
本番用の舞扇子は・・・
舞台に出演する時は、本番用のお扇子は「尺」というサイズのものを使います。
1尺のことです。お扇子は自分の財産になりますので、毎回舞台の度に新しいお扇子を購入しています。
我が家にはそんなお扇子が山ほどあります。
お扇子に関して今までで一番思い出があるお舞台といいますと、お師匠さんと御一緒に踊らせていただいた「二人椀久」という演目です。
廓通いの放蕩の果てに身を持ち崩した椀久という男が、松山という元恋人の遊女の幻と踊る、というものですが、一本のお扇子を二人で使うという、お扇子があっちに行ったりこっちに来たりで、とても楽しかった思い出があります。
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今回の体験談は以上になります。お稽古の様子も詳しく話して下さり、これからお稽古を始めようかという方には参考になりますね。
ありがとうございました♪
当店「山武扇舗」では、舞扇子を製造・販売しております。ネット通販でも扱っていますので、よろしければそちらもご覧ください。
また、ネット通販には掲載していない舞扇子も数多く扱っており、日本舞踊に精通した店主が各流派、踊りの演目に合わせた扇の御相談にも応じさせていただいております。