今回は、当サイトへお寄せいただいた舞扇子に関する体験談をご紹介します。
ご自分の名取り試験の際に課題曲だった「名寄の壽」についてお書き下さった体験談です。
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名取り試験の課題曲「名寄の壽」
小学生の頃と高校を卒業後専門学校に進学してから、日本舞踊を習ったことがあります。
小学生の頃は「坂東流」専門学校の頃は「花柳流」でお稽古をしました。
花柳流でお稽古を始めてから3年ほど経ったとき、名取り試験を受けるために「名寄の寿」のお稽古をしました。
清元の「名寄の寿」は、福寿草や千歳の松などおめでたい風物が詠まれている曲です。
舞台で踊る場合、演出上振り付けをアレンジしていることも多いのですが、「名寄の寿」は試験の課題曲のためオリジナルに忠実に踊らなければならず、名取り試験を受ける前に本部で開催される講習会に参加しました。
そしてその講習会で驚くような経験をしました。
舞踊の講習会でのこと
講習会の会場には全国から大勢の受験生が集まり、舞台上で30人くらいずつ講義を受けながら実際に踊っていきます。
ところが同じ曲を同じ振り付けで踊っているにも拘わらずなんとも不揃いなのです。
間のとりかたが違ったり、体の向きがずれていたり、特に目立つのは扇の動きが不揃いな点です。
そして面白いことに、お揃いの着物やお揃いの扇を持っている数人のグループは、そのグループ毎に動きがそっくり揃っているのです。
動きの揃った数人のグループが、動きが不揃いな幾つかのグループと一緒に舞台で踊っている様子にとても驚きました。
そういう私自身も一緒に名取り試験を受ける姉妹弟子と帯や舞扇子を揃えましたから、お揃いの帯をした動きが揃ったグループのひとつでした。
動きが揃っているグループは、きっと同じお師匠さんに習っているお弟子さん達でしょう。
一生懸命にお稽古するうち、お弟子さんはお師匠さんの良いところも悪い癖も似てしまうのだと思います。
講習会で気付いた舞踊の奥深さ
講習会で振り付けや間の撮り方、扇の使い方など細かい指導を受けた帰り道、姉妹弟子達と一緒に「同じ踊りなのにこんなにも違って見えるものか」と話し合ったことを思い出します。
舞台で踊った曲のお稽古と違い、「名寄の寿」は神経質なほど細かい点に気を配ったお稽古で大変でしたが、日本舞踊の基本を最初からさらい直すことが出来て勉強になった曲になりました。
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今回の体験談は以上になります。
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