今回は、当サイトへお寄せいただいた扇子に関する体験談をご紹介します。
今回は、大学時代に高座扇子を使っていた女性の体験談です。
大学時代を共に過ごした高座扇子
現在30歳、昨年結婚をして4年間勤めた商社を退職しました。現在は京都で専業主婦をやっています。
私の扇子に関する思い出はずばり「高座扇子」です。高座扇子とは、普通に使う扇子ではなく落語で使用される少し大き目の白い扇子の事を指します。
大学時代、落語研究会に入っていた私は4年間この扇子と手ぬぐいと共に過ごしました。
高座扇子との初めての出会いは浅草の扇子店。研究会の先輩に連れて行かれた店で購入しました。
高座扇子は、シンプルな構造で、無地なので値段も手ごろでとても買いやすい物です。確か2000円ぐらいで購入した記憶があります。
落語での扇子の使い方
扇子と手ぬぐいを買ってから、プロ落語家のDVDを見ながら所作の練習を始めました。
落語では扇子を使って色々な道具を表現します。箸やキセル、武士の持つ刀、広げれば手紙なども扇子一本で表現できます。新しいところではテニスのラケットや野球のバットに見立てて使っている人もいました。
高座扇子は買ったばかりだと硬くてなかなかスムーズに開くことが出来ません。落語をしている時には開いたり閉じたりを頻繁に行う事も多いので、買ってからしばらくは何度も広げて扇子を柔らかくする事もしました。
このように普通の扇子と違って扱いはかなり乱暴になりますので、練習をくりかえすうちにだんだんとボロボロになってきます。持ち手も段々黒くなってしまいそれはそれで愛着が出てきていいのですが…
最初に買った扇子は1年ほどで中の紙が破れてしまい、本番では使えなくなってしまいました。その後は本番用と練習用で2本扇子を買い、使い分けるようにしました。結局4年間の間に4、5本扇子を買い替えました。
落語では、しゃべりのうまさが一番大切ですが扇子と手ぬぐいの使い方も話をうまく聞かせるうえで大変重要になります。
たとえば、キセルの持ち方は男の人と女の人では異なります。女の人、特に遊女がキセルを持つときはどれだけ色気を感じる持ち方が出来るかが重要になります。実際のキセルを買って持つ練習をしてから扇子で同じように持つ練習をしたりもしました。
大学時代、私にとって扇子は大事な相棒でした。当時使っていた扇子は今でも実家においてあります。今は落語をやる機会もなくなってしまったので使う事はありませんが、手に取ると落語研究会の楽しい思い出が色々と思い起こされますのでこれからも大切に保管しておきたいと思います。
最近は落語もブームですし、またちょっとやってみようかな…
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今回の体験談は以上になります。
当店「山武扇舗」では、ネット通販でも扇子を多数扱っていますので、よろしければそちらもご覧ください。