今回は、当サイトへお寄せいただいた扇子に関する体験談をご紹介します。
今回は、お母さんに扇子をプレゼントしてもらった方の体験談です。
母が買ってくれた宝物の扇子
私は現在50歳です。群馬県の前橋市に住んで居ます。
もうかなり古くなったけれど良い香りのする私の宝物の扇子のお話をしたいと思います。
もう40年近く昔の事です。私は当時10歳で可愛い物が大好きでした。
しかし当時は物が今ほど溢れている時代では無かったので、可愛い物など貴重な物でした。
沖縄のお土産屋さんで出会った扇子
家族で沖縄に旅行に行った時の事です。お土産屋さんから香水の良い香りが漂っていました。
私はとてもその香りが素敵と思い、そのお土産屋さんに行きました。その香りは美しい扇子から漂っていたのです。
ピンク色のレース地に華やかな孔雀の刺繍が施されているとても美しく華やかな扇子は私の心をすっかりと虜にしました。
当時は扇子は憧れの品だったし、こんな素敵な扇子は見た事がありません。
しかしとても高価な品だったので簡単に買ってとは言えません。とても欲しいけどこんなに高い物は買って貰えるわけがない。
住んで居る町の中のお店だったらいつでも見に行く事が出来るのに・・・沖縄じゃもう二度とこの扇子を見に行く事が出来ない。
そんな風に思い、せめてその場で良く見ておこうと思いました。
母が欲しいの?と聞いてきたが・・・
「その扇子が欲しいの?」と母が聞いて来ました。欲しいと答えてもこんな高い物買って貰うのも気が引けますし、買って貰えるわけでもありません。
だから私は首を横に振るだけでした。そろそろ他の場所に移動する時間になったので、私はトイレに行きました。
私がトイレに行っている間に母はその扇子を買ってくれたのでしょう。その時は気が付きませんでしたけど。
他の場所に移動してもあの素敵な扇子の香りがずっと漂っています。
きっとずっと扇子の近くに居たから香りが移ったのかな?なんて思っていましたが、まるで扇子を手に入れたような気がして良い気分でした。
夜になり、ホテルに戻ってもあの扇子の香りがほのかに漂います。観光で疲れてた私はあまり考えずに良い香りの中で眠りにつきました。
朝起きると枕元に・・・
そして朝になり、枕元を見ると箱が置いてあります。もちろん中身はあの扇子でした。
私は嬉しくて嬉しくて大喜びではしゃいでしまいました。
「この扇子どうしたの?もしかして買ったの?」
ハイテンションで質問する私に母は「いつも良い子にしている私にサンタさんがプレゼントしてくれたんだよ。クリスマスじゃないのにおかしいね。」と言いました。
もうサンタクロースなど信じている年ではありませんでしたし、思えばずっと昨日母から扇子の香りがしていたのを思い出しました。
滅多に私を甘やかさない母からの意外なプレゼントだったから余計嬉しかったのかもしれません。
もう40年近く昔の品ですが今でもまだその扇子は私の部屋に大事に飾ってあります。
もう色もくすんでレース部分は触れると裂けてしまいそうに劣化していますが、かすかに香水の香りがいまだにするのです。
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今回の体験談は以上になります。
当店「山武扇舗」のネット通販では、扇子(夏扇子)を多数扱っていますので、よろしければそちらもご覧ください。